1.「特定技能」とは ① することができる活動と在留期間 ② 産業分野と能力基準 ③ 特定技能2号 ① 特例措置の対象者 ② 許可される在留資格・在留期間 ③ 許可を受けるための要件 ④ 注意点 |
1.「特定技能」とは
① することができる活動と在留期間
「特定技能」の在留資格では、規定の産業分野の技能を要する業務で就労することができます。
つまり、従事することのできるのは一定の業種で、一定水準の技能が求められます。
在留期間は、特定技能1号では、1年、6ヶ月又は4ヶ月で、更新が可能ですが、通算で5年までです。
特定技能2号では、3年、1年又は6ヶ月で、こちらは特に更新についての制限はありません。
② 産業分野と能力基準
「特定技能1号」で就労可能な産業分野は14種類で、日本語能力のテスト(「日本語能力試験(N4以上)」又は「国際交流基金日本語基礎テスト」)と各産業分野についての技能試験に合格する必要があります。
「介護」分野については、日本語能力のテストとして上記いずれかに加え「介護日本語評価試験」の合格が必要ですが、介護福祉士養成施設修了者は日本語能力のテストが免除されます。
「技能実習2号」を修了した方は、日本語能力のテスト・技能試験ともに免除されます。
対象の産業分野と業務
産業分野 | 従事する業務 |
介 護 | ・身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等のほか、 レクリエーションの実施等の付随の支援業務) ※ 訪問系サービスは除く |
ビルクリーニング | ・建築物内部の清掃 |
素 形 材 産 業 | ・鋳造 ・金属プレス加工 ・仕上げ ・溶接
・鍛造 ・工場板金 ・機械検査 ・ダイカスト ・めっき ・機械保全 ・機械加工 ・アルミニウム陽極酸化処理 ・塗装 |
産業機械製造業 | ・鋳造 ・塗装 ・仕上げ ・電気機器組立て ・溶接
・鍛造 ・鉄工 ・機械検査 ・プリント配線板製造 ・工業包装 ・ダイカスト ・工場板金 ・機械保全 ・プラスチック成形 ・機械加工 ・めっき ・電子機器組立て ・金属プレス加工 |
電気・電子情報関連産業 | ・機械加工 ・仕上げ ・プリント配線板製造 ・工業包装
・金属プレス加工 ・機械保全 ・プラスチック成形 ・工場板金 ・電子機器組立て ・塗装 ・めっき ・電気機器組立て ・溶接 |
建 設 | ・型枠施工 ・建設機械施工 ・鉄筋施工
・左官 ・土工 ・鉄筋継手 ・コンクリート圧送 ・屋根ふき ・内装仕上げ/表装 ・トンネル推進工 ・電気通信 |
造船・船用工業 | ・溶接 ・仕上げ
・塗装 ・機械加工 ・鉄工 ・電気機器組立て |
自 動 車 整 備 | ・自動車の日常点検整備、定期点検整備、分解整備 |
航 空 | ・空港グラウンドハンドリング
・航空機整備 |
宿 泊 | ・フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供 |
農 業 | ・耕種農業全般
・畜産農業全般 |
漁 業 | ・漁業(漁獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保等を含む)
・養殖業(安全衛生の確保等を含む) |
飲食料品製造業 | ・飲食料品(酒類を除く)製造業全般 |
外 食 業 | ・外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理) |
※ 各産業分野の技能試験については出入国在留管理庁(旧入国管理局)のホームページをご参照ください。
→ http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00201.html
③ 特定技能2号
「特定技能2号」の対象となるのは「特定技能1号」の対象業務の一部です。
より高度な技能試験の合格が必要とされています。
「特定技能1号」を経て「特定技能2号」に変更というのが一般的なルートになるかと思われますが、2号のための技能試験に合格すれば、直接「特定技能2号」を得ることも可能です。
日本語能力については、特に規定されていません。
「特定技能1号」を経ているのであればその段階で、日本語能力を確認している、又、「特定技能2号」の技能試験に合格するほどの技能水準に達しているのであれば、業務に支障はないという趣旨かと思われます。
特定技能2号の対象分野・業務
産業分野 | 従事する業務 |
建 設 |
・型枠施工 ・建設機械施工 ・鉄筋施工 ・左官 ・土工 ・鉄筋継手 ・コンクリート圧送 ・屋根ふき ・内装仕上げ ・トンネル推進工 ・電気通信 ・表装 |
造船・船用工業 | ・溶接 |
※ 技能試験については出入国在留管理庁(旧入国管理局)のホームページをご参照ください。
→ http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00201.html
在留期間の更新については、前述のとおり特に制限はありません。
2.「特定技能」が認められるまでの間はどうすれば良い?
「技能実習2号」で在留した経験のある方については、「特定技能1号」への変更準備中の在留資格に関し、特例措置を受けられる場合があります。
① 特例措置の対象者
次のいずれにも当てはまる方が対象となります。
- 「技能実習2号」で在留した経歴があること
- 現に「技能実習2号」、「技能実習3号」、「特定活動」(外国人建設就労者又は造船就労者として活動している者)のいずれかの在留資格で在留中で、2019年9月末までに在留期間が満了すること
② 許可される在留資格・在留期間
特例措置で認められる在留資格は、「特定活動」(就労可)です。
在留期間は4ヶ月で、原則として更新はできません。
③ 許可を受けるための要件
特例措置を受けるには次の条件をすべて満たすことが必要です。
- 従前と同じ事業者で就労するために「特定技能1号」へ変更予定であること
- 従前と同じ事業者で従前の在留資格で従事した業務と同種の業務に従事する雇用契約が締結されていること
- 従前の在留資格で在留中の報酬と同等額以上の報酬を受けること
- 登録支援機関となる予定の機関の登録が済んでいないなど、「特定技能1号」への移行に時間を要することに理由があること
- 「技能実習2号」で1年10か月以上在留し、かつ、修得した技能の職種・作業が「特定技能1号」で従事する特定産業分野の業務区分の技能試験・日本語能力のテストの合格免除に対応するものであること
- 受入れ機関が、労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
- 受入れ機関が、特定技能所属機関についての一定の欠格事由(前科、暴力団関係、不正行為等)に該当しないこと
- 受入れ機関又は支援委託予定先が、外国人が十分理解できる言語で支援を実施できること
④ 注意点
- 特例措置の申請許可により「特定活動」(就労可)で在留した期間は、「特定技能1号」での通算の在留期間の上限である5年の中に算入されます。
- 「特定技能1号」への在留資格変更許可申請の準備が整い次第、速やかに申請を行う必要があります。
- 特例措置による「特定活動」(就労可)又は「特定活動」(就労不可)の申請(審査)中に従前の「技能実習1号」等の在留期限が到来した場合、審査結果が出るまでの間(在留期限から2ヶ月以内)は、就労することはできません。(在留を継続することはできます。)
3.「特定技能」で家族を帯同する(呼び寄せる)ことはできる?
「特定技能1号」で就労するご本人の家族につき在留を認める規定はなく、家族であっても当然に日本に在留することはできません。
(その家族が「留学」など、別に自身の在留資格を持っている場合はもちろん在留可能です。)
一方、「特定技能2号」では、就労するご本人の扶養を受ける配偶者又は子は、「家族滞在」の在留資格が認められます。
4.受入れ機関となるには?
「特定技能」については、外国人であるご本人についてだけではなく、雇用機関についても在留資格の認定上、様々な要件が定められている点が、他の在留資格と比べて特徴的となっています。
中でも重要な点は、「特定技能1号」で在留する方に対する支援体制を整えることが求められていることでしょう。これは、日本での生活に関するオリエンテーションや、日本語習得の支援、相談・苦情対応などを行うということです。
雇用機関が自ら実施するのではなく、登録支援機関に委託することもできます。
その他、産業分野ごとにも満たさなければならない要件が定められています。
「特定技能」については、出入国在留管理庁(旧入国管理局)のホームページに
詳細が掲載されています。
→ http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri01_00127.html